「ちゃありんぼ」と新入社員 |
「ちゃありんぼ」は東大阪市西部、大阪市東成区の方言だとは知らなかった。全国的には「ごまめ」「おまめ」「みそっかす」というらしい。
しかし、「ごまめ」「みそかっす」と言葉には、“のけ者”ようなニュアンスがあって、私はあまり好きではない。その点「ちゃありんぼ」という言葉には、物心つかない幼児への愛ある眼差しを感じる。ただ、実際、鬼ごっこや缶蹴りをする際、「ちゃありんぼ」が機能するのは、分別の付く小学5、6年生くらいの女子リーダーの存在が必要だった。
「ちゃありんぼ」というのは素晴らしいシステムだと思う。子供社会(=組織)に属するだけで、わけがわからなくても何だか楽しい。そして、いつの間にか「ちゃありんぼ」を卒業し、次の「ちゃありんぼ」(たいてい誰かの弟や妹)を迎え入れる。
会社の新入社員においても、5月中旬、早ければ新人研修を終えて、新卒社員が部署に配属される頃だ。「ちゃありんぼ」のように、ただ属することに楽しみや喜びが感じられる、そんな部門も素敵だと思う。甘いだろうか。
大阪ことば学
著者/尾上圭介
発行/創元社
合理的だが理屈はキライ。なれなれしいほど暖かい。笑いがなければ、会話じゃない。しゃべりながら落ちを探す涙ぐましいサービス精神。今や「無敵の大阪弁」快進撃の秘密を探る!(Amazonより)