【青森旅行】あおもり犬がいる青森県立美術館 |
あおもり犬が現れた! Asanaoはベギラマをとなえた。あおもり犬に80HPのダメージを与えた。アオモリ犬の攻撃……なんてシーンを、目前にすると思いついた。
青森県立美術館の所蔵作品(というには大きすぎる)、奈良美智作「あおもり犬」だ。高さ8.5メートル。前から見るのと横から見るのと後ろから見るのとでは、ちょっと表情が違って見えるのは私だけだろうか。
さて、青森県には県立美術館、十和田市現代美術館という、素晴らしい美術館があることを、アート好きから耳にしていた。今回、十和田市現代美術館には行けなかったが、青森県立美術館一つで十分にお腹いっぱいになれる、期待を裏切らない内容だった。
入館して最初に目にするのが、マルク・シャガールの1942年の作品、バレエ「アレコ」舞台背景画3枚。第1幕「月光のアレコとゼンフィラ」、第2幕「カーニヴァル」、第4幕「サンクトペテルブルクの幻想」が、巨大なホールの三面に掲げられている。高さ約9m、幅が約15m。フロアの真ん中にコロのすいたイスがいくつか置かれていて、離れた場所からじっくりと鑑賞できるようになっていた。
美術館のイスというと備え付けのタイプが多いが、コロのついたイスというのはじっくり鑑賞したい来場者にとって、とても便利だと思った。もっとも来場者の少ない場合でないと、順路に渋滞を起こしてしまいそうだが。
この美術館は奈良美智、棟方志功の作品展示が知られる。今回、印象に残ったのは東北の震災、津波をテーマにした八戸出身の豊島弘尚の「鮫港大潮風巻」だった。北欧神話の神オーディンやカラスが登場、終末的な作品群で、苛烈な色彩が目に焼き付いた。※作品はこちらのサイトで一部見られます。
また、特別展として「種差 よみがえれ浜の記憶」が開催されていた。種差海岸は三陸海岸の北端に位置する。今、話題の朝の連ドラ『あまちゃん』の舞台、久慈からも近い。
実は、この展覧会を見るまで「種差」という地名も場所の存在も知らなかった。青森県の地図を見ると、下北半島と津軽半島、八甲田山と十和田湖、最近、ユネスコ世界遺産に指定された白神山地に目が行きがちだった。また、三陸海岸というと、岩手県の宮古、久慈あたりまでのイメージがある。なので、下北半島と久慈の間にある海岸はどうも影が薄かった。
今回の企画展、20世紀、鳥瞰図で名を馳せた吉田初三郎の地図(?)を中心に、ランドアートで知られるリチャード・ロング、新進写真家・笹丘啓子の委嘱作品。そして、東山魁夷の「道」「夕凪」展示という意欲的な内容だった。
中でも私が長い時間、思わず足を留めてしまったのは東山魁夷の作品「道」だ。
ただ、一本の道にどうして目が奪われるのか、その創作過程や「道」の場所の解説を読むにつれ、どうしても種差の地に行きたくなった。また、笹丘啓子が撮影した「鮫」という変わった地名の海岸も気になった。
結局、この特別展は旅の最終日、私を北三陸の種差海岸、鮫へと向かわせることになった。
ところで、この美術館は建築家の青木淳が設計、ビジュアルイメージはデザイナーの菊地敦己が担当している。ただ、率直にいって、今、どこにいるのか、どこから入館すればいいのか、とてもわかりにくかった。そこを、あえて狙っているのだろうか。
一時間一本の青森駅行きのバスの時間まで、併設のカフェ『4匹の猫』でゆったりコーヒーを飲んで、美術館を後にした。(続く)
青森県立美術館 ホームページ
ことりっぷ十和田・奥入瀬 弘前・青森・恐山
(ことりっぷ国内版)
発行/昭文社
必要最低限の情報がコンパクトに掲載されており、重宝したガイドブック。歩く旅行に持ち歩きやすい判型だった。