【高麗川散歩】高麗郷民俗資料館から高麗川沿いを行く |

月曜の巾着田へのお出かけの続き。
曼珠沙華公園を人波に押し出されるように、日本最大級の木造トラス橋「あいあい橋」を渡ると、小さな公民館風の建物があった。民俗資料館と大きく文字があり、のぞいてみた。入場無料。
一階には、「稲作」「畑作」「養蚕」「茶」という近世~近代のこの地域の暮らしぶりがうかがえる民具が展示してあった。火鉢や石臼など、私が子どもの頃、田舎ではまだまだ活躍していたモノも多く、思わず夏休みの帰省を思い出した。

二階には、日高市内の町田家に伝わる中世文書が展示されていた。南北朝時代、「観応の擾乱」で足利尊氏方に付いた高麗氏の軍忠状(自分の軍功を足利尊氏に上申し、恩賞の証拠にする書類)などがあり、なかなか興味深かった(写真左上)。
萱葺きの小さな祠もあった(写真右上)。江戸時代から、市内の諏訪神社では祭礼の際、このように祠の萱を葺き替えたらしい。この作業を怠ったある年、疫病が広まり、以来、毎年葺き替えを行うようになった、と。ただ近年、人手不足により、1997年に檜作りの神殿を建立。展示されっている祠は1997年、最後に作られたものと書かれてあった。
夕暮れまでまだまだ時間があるので、高麗川本郷から高麗神社方面に散歩してみることにした。巾着田付近の混雑と打って変わって、国道299号線、正丸峠方面につながる県道を北に超えると、のどかな農村の景色になった。最近、ガーデニングに目覚めたからだろうか、広い畑を持つ農家がうらやましい。

下は高麗川。少し上流が巾着田だが、この付近は河原を歩く人影もまったく見られなかった。

シンプルな家屋と大きな木、そして彼岸花。宮崎駿のアニメに出てきそうな風景に出くわし、思わず足を止めてしまう。

ところで、この周辺にはなぜか自家焙煎の喫茶店が多い。県道から外れた場所にあるので、地元の人向けだろう。
そのうちの一軒「喫茶萬年青(おとも)」に立ち寄ってみた。エントランスでスリッパに履き替えて、店内に入る。一軒家の応接室を一回り大きくしたような純喫茶。アップライトピアノが置いてあり、BGMに1980年代のイージーリスニングが流れていた。会社員を引退したご夫妻でやっておられる純喫茶とお見受けした。アイスコーヒーを飲んで一息ついた。
路傍に彼岸花が咲く、のどかな首都圏近郊の農村。還暦を過ぎて引退したら、このあたりで暮らしてみたい気持ちがわかる気がした。

下はこの日の散歩コース。

喫茶萬年青(おとも)