息子が交通事故に遭って、親に伝えたい唯一のこと |
さて、一つだけ子どもを持つ親に伝えたいことがあります。絶対に忘れないで下さい。
交通事故でも健康保険は使えます。
病院にはびこる都市伝説 「交通事故は健康保険が使えない」は本当か(ダイヤモンドオンライン)
事故直後、救急車により埼玉県の町村部にある24時間対応の病院に運ばれました。救急隊から妻に電話連絡があり、妻から私にメールが届きました。息子は事故当時の記憶をなくしていて、この時点で「どこで、どんなクルマと、どのように事故にあったか」が全くわからない状態でした。
とりあえず、応急診療をしてもらったところ、骨に異常はなく、全身、特に腰が強い打撲であることが分かりました。数時間の点滴の後、自宅に妻がクルマで連れて帰りました(私は運悪く入れ違いで病院に到着)。すでに深夜11時を超えていましたので、精算は翌日以降となりました。
その後、自宅から110番に電話をして、さいたま市西区、川越市、ふじみ野市周辺で、この6時間以内に自転車による交通事故がなかったか確認したところ、西入間警察署内であったということがわかり、西入間署に電話。ここで初めて追突した加害者が分かって、その後、警察の仲介で追突した運転手から電話があり、明日朝、急遽、お詫びに来ることになりました。
翌朝、加害者の方も憔悴されており、ゆっくり事故の状況を聞いて、初めて「どこで、どんなクルマと、どのような事故が起きたか」という状況が分かった次第です。その後は、先方の保険会社の賠償担当者からの電話があり、結局、会社を午前半休して諸々対応をしました。
さて、ここからが伝えたいことです。
朝10時くらいに、運び込まれた病院の事務員から電話があり、「治療費6万数千円を3日以内に払ってほしい」とのことでした。そして、「交通事故では健康保険は使えません」と言われました。
その時は「そうなのか」と思って、こんなやりとりに。
私 「では、銀行振込にしていただけませんか?」
事務員 「いえ、直接、現金でお支払いいただきたいのです」
私 「そちらの病院まで遠く、私、都内に勤めているので、振込にしてほしいのですが?」
事務員 「現金じゃないと困るんです」
私 「ですから、現金を振り込みます(手形じゃないよ)」
事務員 「直接じゃないと、領収書が出せないのです」
私 「支払いの形態と、領収書の発行は別の問題じゃないですか?」
私はちょっと憮然としながら、どうせ、ちゃんとした検査と診断書が必要なので、三日後、病院に診療に行く際、支払うことで合意しました。
ところが、その後、いろんな保険会社や健康保険組合のページを確認すると、「交通事故が原因のケガも健康保険証を使って治療を受けられます」という旨が記載されています。
交通事故に健康保険は使えないってホント?(おとなの自動車保険)
自動車事故などにあったとき 第三者の加害行為による治療(出版健康保険組合)
瞬間、「あの野郎!」と思いました。
健康保険組合に電話をして、担当者に裏の事情を尋ねてみると、国が管理している保険診療と異なり、自由診療の価格は縛りがない(すなわち言い値)なので、高い診療費を保険会社に請求できるので、「交通事故では健康保険は使えません」という病院が多いそうです。
これについては、40年以上も前、1968年10月に、厚生省(現・厚生労働省)が出した課長通知に、
「自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変りがなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるように指導されたい」
と明記されています(昭和43年10月12日 保険発第106号「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」)。
妻に健康保険組合のページをコピーして持たせ、3日後、この病院へ診療に出かけたところ、診断・治療費は病院から損害保険会社に直接請求をすることになりました。結局、私としては一円も払わずに済みました。
繰り返します。
交通事故でも健康保険は使えます。
追伸:
不思議と加害者の方に怒りは湧きませんでした。夜道を運転していて、誰しも同じ立場になる可能性は否定できないと冷静に思うのです。それよりも、病院に対する不信は収まりそうにありません(事務員はマニュアルに沿って対応しているのでしょうが)。
■ 追記 その1(2/23 22:37):
先週の交通事故からバタバタしていて疲れたのか、今日は起きたら正午でした。午後、ブログを確認したら、この記事がたくさんツイートされたり、ブックマークされていて大変びっくりしました。
この記事は、私が自分の立場であったことを淡々と書いただけなので、「どうするのがベストなのか、あるいはベターなのか」は、いただいたコメントや医療関係の知人に訊ねて、シチュエーションや立場により異なることがよくわかりました。
ただ、交通事故において、健康保険を使うのがよいのか使わない方がよいのか、この是非はともかく、「選択肢があること」はやっぱり病院はちゃんと伝えるべきだと思います。明らかに「健康保険は使えません」と言ったのは事実誤認、100歩譲って説明不足ですから。
最後に息子はかなり足に痛みがあるようですが、ようやく一人でポツポツと歩けるようになりました。
■ 追記 その2(2/27 23:20)
今回の交通事故、治療費は病院から損害保険会社に直接請求されることになりましたが、事故の翌日、健康保険組合に相談した際、健康保険を使用するための「第三者行為による傷病届」と関連書類も、同時に郵送してもらいました。その詳細について、新しい記事にしました。「第三者行為による傷病届」について調べた